直ぐに芝山先生の声がして扉を開けてくれた。

「おはよう。よく来たね。偉いね。暑いでしょ?入って。」

僕は頭を下げて保健室へ足を踏み入れた。

部屋を眺めると、この前見た時と同じ場所にあの時の女子生徒が座って読書をしていた。

僕は反対側の椅子に座り荷物を置いた。

「帰りたい時は教えてね。此処では好きな事をしてていいから。」

僕は何も持ってきていなかったから何をしようか迷っていた。

そんな僕を見て察したのか芝山先生が僕を手招きした。

「何も持っていないのなら少し手伝ってくれるかな。」

僕はやる事がなかったので静かに席を立ち芝山先生の所へ行った。

「このベッドを整えて欲しいのだけどいいかしら。」

僕は頷き、制服の袖を捲った。

僕は夏でもクーラーの寒さが苦手だからいつも長袖を着ている。

「それじゃあよろしくね。」

僕は黙々と作業を進めていた。

ふと視線を感じ顔を上げると、さっきまで読書をしていた女子がこっちをじっと見ていた。