朝食を食べ終わり、支度をすると時計は9時を示していた。

さっき芝山先生に連絡をした時、芝山先生は電話越しでも分かるくらい喜んでくれた。

遅刻でもいいからおいでね。来ることに意味があるから。と言ってくれた。

玄関に立ち深呼吸していると、優兄さんが僕の荷物を持って外に出て行った。

「待って、優兄さん。それ僕の荷物。」

「分かってるよ。送ってくから早く車乗れ。」

僕は少し笑って助手席に乗り込んだ。

学校の門の前に車を停め、そこからは一人で行けると優兄さんに伝えた。

心配した顔で僕を見つめたがわかった。と言って微笑んだ。

その笑顔を見たら不安と緊張でいっぱいだった心が少し軽くなった気がした。

「じゃあ、行ってきます。」

「おう。無理すんなよ。辛くなったら帰ってこい。」

僕に向けて拳を出してくる優兄さんに少し恥ずかしさも感じながら僕も拳を合わせた。

深呼吸をして靴を履き替え保健室へ向かった。

幸いにも昇降口から保健室は近かった。

静かな廊下に僕の足音だけが響いていた。

微かに授業中の先生や生徒の声が聞こえてきた。

保健室の前に立ちバクバクする心臓を落ち着けながら震える手で扉をノックした。