芝山先生が帰った後、部屋で悩んでいた。

保健室に登校出来るならそうしてみてもいいかもしれない。

でも、怖さは消えない。不安で仕方がない。

また失敗するんじゃないか。

普通ではない僕を知ったら芝山先生は嫌いにならないだろうか。

「…怖い。怖いよ。」

その時玄関から鍵を開ける音がした。

「真昊?ただいま。居るならちょっと降りてきてくんない?」

階段下から優兄さんの呼ぶ声がした。

仕方なく扉を開け階段を降りた。

「このお茶。誰か来たのか?」

「さっきまで芝山先生が来てたんだ。保健室の先生だよ。」

僕は芝山先生から聞いた事を優兄さんに話した。

「ふーん。いいじゃん。まぁ無理にとは言わないけどさ。真昊にも居場所があるってことじゃね?俺も送っていける日は送ってくし。無理な時は芝山先生に頼ればいい。今はまだ、お前は子供だから色んな人を頼っていいんだぞ。」

そう言って僕の頭に手を置いた。

“居場所”か。

僕の居場所は何処なんだろう。

もし保健室が僕の居場所になるなら、試してみてもいいかもしれない。

そう思った。