僕には家族が居ない。母親は僕を産んで直ぐに死んだ。
だから僕は母親の声も顔も温もりも覚えていない。
もちろん母親も僕の声も顔も温もりも知らないだろう。
でもただ1つ覚えていることがあるとすれば、ばあちゃんに言われた言葉だった。
あれは僕が小学6年生の時。記憶にない母親の写真を眺めていた僕にばあちゃんは今にも消えそうな声で呟いた。
「真昊の目は美昊さんに似たんやねぇ。」
真昊(まそら)は僕の名前で、美昊(みそら)は母親の名前だ。
ばあちゃんは僕に会う度にそう呟くようになった。僕は少し複雑だった。
母親が関係している記憶はそれだけだった。
だから僕は母親の声も顔も温もりも覚えていない。
もちろん母親も僕の声も顔も温もりも知らないだろう。
でもただ1つ覚えていることがあるとすれば、ばあちゃんに言われた言葉だった。
あれは僕が小学6年生の時。記憶にない母親の写真を眺めていた僕にばあちゃんは今にも消えそうな声で呟いた。
「真昊の目は美昊さんに似たんやねぇ。」
真昊(まそら)は僕の名前で、美昊(みそら)は母親の名前だ。
ばあちゃんは僕に会う度にそう呟くようになった。僕は少し複雑だった。
母親が関係している記憶はそれだけだった。



