車に乗ると安心して溜息が出た。

「びっくりしたよ。大丈夫か?俺が今日バイト休みでよかったわ。」

「ごめん。ちょっと色々あって。迷惑かけて本当ごめん。」

「謝んな。迷惑なんかじゃないから。気にすんなよ。」

そう言って僕の頭を優しく撫でてくれた。

「学校に行くのが怖いんだ。人の視線が怖くて震えが止まらなくなるんだ。息が苦しくなって。ちゃんと普通で居られてるか不安になるんだ。また失敗するんじゃないかって不安なんだ。」

優兄さんの笑顔を見て、僕も驚く程素直に心の中の声が全部溢れ出てきて止められなかった。

そんな僕を初めて見たのか、優兄さんは少し目を見開いていたが、少しして何も言わず優しく抱き締めてくれた。

「怖いよ…優兄さん。周りの視線が刺さって痛いよ。普通になれないのかな。失敗しないって決めてたのに。また…また失敗しちゃったよ。学校…怖いよ。怖いよ…。」

優兄さんに抱き締められながら僕は泣いた。

何年ぶりか分からないけど、久しぶりに泣いた。

優兄さんのシャツが濡れるくらい泣いた。

優兄さんは何度も頷きながら強く優しく抱き締めてくれた。

「ずっと怖かったな。苦しかったな。気づいてやれなくてごめん。もう大丈夫だから。失敗なんかしてないから。お前は普通だよ。だから大丈夫。沢山泣いていいよ。」

声を上げて情けなくなるくらい泣いた。

15分程泣いて、少し落ち着いた頃優兄さんは車を動かして学校を出た。