「えーーじゃあ瑠奈、俺らで付き合う?独り身同士」
「ばか!あんた彼女いるでしょ!」

慶次の長い足を踏めば、その場にしゃがみ込み下から私を睨んでいる。
慶次は彼女も数人いるだろうし、身体の関係だけの人もいるし、本当にチャラい。でもなぜか憎まれないのは、慶次のキャラのおかげなのかもだけどさ。


チャイムが鳴り慶次は隣のクラスへ去っていった。
教室はシーンと静かになった気がする。

萌子に彼氏か…
いいなぁ!私も……誰かを好きになれたら付き合ったりできるのかな。


私だってそれなりにモテてきた気もする。だけど私を好きだと言ってくる人は、どうやら慶次みたいなチャラチャラした人が多い。

ただ自分の好きなメイクをして、自分の好きな髪型をしているだけで、社会に反抗するつもりもない。
好きなことがしたいと思って出来上がったのが今の私。

でも周りから見ればそういう見た目の私は、どうやら《《ビッチ》》と呼ばれる女の子に見えるそうだ。

ビッチ……誰とでも寝るような尻軽女のこと。失礼だよね、ほんと。正直言われ慣れてしまった自分もいる。またか、はいはい。と思うくらいまでになった。

萌子いわく、世の中には《《清楚系ビッチ》》と言う言葉があるが、わたしは《《ビッチ系清楚》》らしい。
ビッチに見えて清純だからいいギャップだと言われた。ビッチに見える時点でアウトだけど。

中学の頃から言われてきたから慣れているけど、ある先輩との出会いでそれは私の中でトラウマになってしまった。