「なんで瀬戸くんはあの高校に来たんだろ?」

「それは本人に聞きなさいよ」

まぁそうなんだけどさ。
とりあえずお姉ちゃんの買ってくれたケーキを頬張る前に夜ご飯を食べなきゃいけない。

自炊は一通りできるようになった。元々お母さんは仕事人間だったから、家事をしていたのはお姉ちゃんで、お姉ちゃんから沢山教わっていたから1人でも特に問題はない。


「瑠奈が特定の男の子の話するの久しぶりだね」

「そうかも。男の子の友達はなかなか出来ないから。瀬戸くんは友達って思ってくれてるか分からないけど」

お姉ちゃんと2人で晩御飯の準備を済ませる。やっぱり誰かと食べるご飯はおいしいね。


「瀬戸くんはかっこいいの?」

「さぁ?あんまり顔がちゃんと見えない。スッとした切長の目なのはわかってる。あとは髪の毛が長くて全体的に顔が見えない」

「そうなんだ。瑠奈はどんな人に恋をするかな」


お姉ちゃんはニコニコと私の顔を見ながらそう言っている。お姉ちゃんも先輩とのことは知っている。でももう数年経ったからね。新しい恋を見つけてもいい頃だって感じなのかな。

でもまだ、そんな気にはなれそうにないよ。


「今は友達と遊ぶだけで満足」


お姉ちゃんは少し心配そうな顔をした。
お姉ちゃんは10歳も歳が離れていて、私の保護者みたいなものだ。
だからなんでも話せた。きっとこれからも、お姉ちゃんになんでも相談するんだろうな。

お姉ちゃんとは他愛もない話をして夜を過ごした。お母さんの話も聞けたし満足だ。


「瑠奈、私そろそろ帰るけど、大丈夫?心配事とかない?」

「心配性ね。大丈夫よ。ありがとうお姉ちゃん」