「純情ぶんなよ、めんどくせーな」
そう目を見て不機嫌そうに言われたその瞬間に、私の恋は終わった。
あの時の冷たい目がトラウマになっている。
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「見た目はビッチ!中身は純情!」
「ちょっと!大きな声で言わないでよ!」
友達の萌子の口を両手で塞ぐ。どこかの少年名探偵みたいなセリフに乗せて言わないで欲しい。
今日は高校2年生の初日だ。みんながそわそわした空気の中に響いた萌子の声。
チラチラと視線も集まる。
「瑠奈はこんなにもピュアで可愛いのにね。どうして誰も分かってくれないんだろ」
おーよしよしだなんて言いながら頭をこねくり回される。恥ずかしいからやめてほしい。
萌子は中学からのお友達で、私にとって唯一の素直に話せる友達だ。萌子と同じクラスで心底助かった。
「その見た目やめたら?」
「えーーーやだよ。ギャルが好きなんだもん」
「まぁ、そうね」
派手な髪の毛に、派手な化粧。
制服も着崩した私はギャルと呼ばれる部類らしい。ギャルって可愛いよね。だからこの見た目なんだけど……
「そりゃ、尻軽にみえるわよ」
私の短いスカートの裾をちょいちょいっとつまみながら萌子が言った。
萌子は色々と事情も知ってくれててこの感じだからなんとも思わない。むしろ不憫だと言われてるし、なんだかんだ好きな格好しなさいと言ってくれる。
せっかく自由な校風の高校を選んだのに、好きな格好できないだなんて嫌じゃん。
何のためにこの学校を受験したのかわからなくなる。