アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き



 二人はゆっくりと歩き、眠ってる私に近づいてくる。


 ベットの横に置かれた椅子に腰を下ろして座る彼と、その横に立つ彼女。

 目を閉じて眠る私の顔を、そろって見つめてる。


「課長補佐、ごめんなさ~い。あたしたち、二年前から付き合ってるの~」



 はあ?


 意識が回復しない私に向かって、キラキラOLはいきなり何を言い出すのよ。



「聞こえてないからって、大胆すぎるんじゃないのか?」


「いいじゃんべつに、本当のことなんだからぁ~」


 語尾を伸ばすしゃべり方は、何回も直すように言ったはず。

 でも、上司の言葉を耳にするような彼女じゃなかった。


 反抗的な態度を取って逆らっても、周りの男性社員はゆるしてくれる。

 同性の私には、甘えた猫なで声など通用しない。



 きっと、やりずらい上司だと嫌われていただろう。

 上の人もそれが分かってて、私の部下にしてるんだと考えていた。



 その時、私が思ってもいなかったことを彼が話し始める……