我を忘れそう叫ぶ澪桜の母親。

本当、みっともないな。

『この後に及んでまだそんな口を叩くのか?』

「当たり前よ!そんな欠落品より舞桜の方が絶対いいに決まってる!」

「そうだぞ!舞桜こそが八城財閥の婚約者にふさわしいはずだ!」

黙って聞いてれば……。

『そろそろいい加減にしてくれません?』

マイクを持ってそう言った俺。

『あんたら、この16年一度くらい澪桜の気持ちになったことあるか?澪桜に目を向けたこと、あるのかよ』

「はぁ?あるわけないでしょ!私はね、その子のこと娘だと思ったことは一度もないの!いい?あんたはこれからも私たちの言う通りに生きていけばいいのよ!」

「っ……」

さすがの澪桜も限界なのか、手元がまた震えてきた。

すかさず澪桜の手を握ってあげる。