「こんな最低な音色は初めてだ」

会場がブーイングに包まれ、演奏を辞めた双子。

嘘つくからこうなるんだ。

俺はマイクを持って、澪桜を見た。

『それじゃあ澪桜、弾いて見せてくれないか?』

「えっ……いいの?」

『澪桜の音色が聴きたい』

そっと席を立って、ピアノに近づいた澪桜。

「君、邪魔だ」

SPが素早く双子を澪桜から離した。

「ちょっと!離しなさいよ!」

『それでは澪桜様、演奏よろしくお願いします』

澪桜はみんなにペコッと頭を下げてから椅子に座った。

次の瞬間。

──〜〜♪♪♪〜♪

途切れ途切れじゃない、しっかりとした音色が会場を包み込んだ。