だからこそ、親の気持ちになれるはずだ。

『澪桜ちゃんは大橋宮家にとって都合のいい操り人形として扱われました。大橋宮舞桜の身代わりになり稽古やレッスン、礼儀やマナーを叩き込まれ多くのパーティーに大橋宮舞桜として参加させられた』

「ちょっと待ちなさいよ!」

遠くからそう叫んだ人間。

あれは……双子か。

双子に続いて俺らに近づいてくる大橋宮家。

「なにデタラメ言ってんのよ……!?私は澪桜に稽古やレッスンをさせた覚えは、」

『ないと言いたいんですか?それじゃあ証明して頂きましょうか』

「はっ……?」

パッ!とスポットライトの向きが変わった。

そちらを見れば、ピアノが置いていた。

『大橋宮舞桜はピアノのレッスンはいつも澪桜ちゃんにやらせていたとのこと。でももし自分が受けていたとしたら……今ここで弾けるはずだ』

「っ……いいわ、弾けるんだから」