時間になって会場を除くと、数え切れないくらいの人が溢れていた。

「じゃあ澪桜ちゃんと廉は俺と絢に続いて入場するんだよ」

『さぁいよいよ八城財閥の社長、婦人が入場いたします!』

中からそんな司会者の声が聞こえてきて、同時に会場スタッフさんがドアを開けた。

たくさんの拍手に包まれながら入っていった正樹さんと絢さん。

「ふぅ……緊張する」

「大丈夫、俺も緊張してるから」

「廉くんも?意外」

いつも余裕そうな顔をしてるのに。

「それでも、俺がエスコートするからついてきてくれますか?」

あたしの手をそっと掴んで、頭を下げた廉くん。

──チュッ。

……え?

「っ廉くん!?」