「こんなことを思うあたしは、最低な親不孝者ですね……」

そんな、悲しそうに笑わないでほしい。

澪桜にこんな表情をさせてると思うと、今すぐこの世から抹殺したくなる。

「澪桜は最低でもないし、親不孝者でもない。むしろそう思って当然だ」

「澪桜ちゃんの気持ちはわかった。ただ大橋宮財閥がどう動くかわからないから……当日澪桜ちゃんにはSPをつけよう」

「澪桜、俺から離れるなよ」

あの双子が、あの親が、澪桜をすんなり嫁がせるわけがない。

絶対なにか仕掛けてくるはずだ。

「話はこのくらいかな。澪桜ちゃん、好きな色とかあるか?」

「好きな色、ですか?」

「せっかくなんだ。婚約パーティーのドレスは澪桜ちゃんの好きな色にしたくてな」

そういえば俺……澪桜のことあんま知らない。

好きなものも嫌いなものも。