「マンション……?」

まさか澪桜、忘れてる?

「俺ら同棲するから、そのマンションの鍵だよ」

「あっ……そ、そうだった」

澪桜、たまに抜けてるんだよな。

はぁ……可愛いよな。

「ただパーティーに出席する財閥なんだが……大橋宮財閥を招待しようか悩んでるんだ」

「私は反対だけど、まぁパーティー当日に大橋宮財閥を潰すのもありよね」

「……澪桜、大橋宮家に思い入れとかある?」

もしあったら、潰すのはやめといた方がいい。

澪桜は少し考えると、首を横に振った。

「あの人たちにとって……あたしは存在しない。16年間一度も澪桜として見てくれたことなんかなかったから……」

でも、と呟く澪桜。

その瞳は、悲しそうで……愛に飢えた瞳だった。