わかってる、こんなこと廉くんに言うなんて失礼だって。

「今からでも遅くないよ……舞桜を婚約者にすることだってできるんだよ」

「澪桜、ちょっと待て」

「あたしといたら、廉くんもっとみんなから悪く言われちゃう……。あたしじゃなくて舞桜といた方が廉くんは、」

「澪桜!」

廉くんに両手で頬を挟まれ、顔をあげさせられた。

「落ち着け……俺は澪桜といたいんだよ」

「っでも……欠落品のあたしといてもいいことなんかなにも……」

「いいことしかないよ」

え……?

優しく涙を拭ってくれる廉くん。

触れる指は、優しくて。

「俺はお見合いの話された時、双子じゃなくて澪桜と婚約するつもりだった。初めて教室で会った時もずっと澪桜しか眼中になかった」