「あぁ?」

「すみませんっした」

いつか丈くんに勝てるように頑張ろ。

「廉くん、ケンカはもういいの?」

「教えることは教えてきたし。2時間たっぷり詰め込んだから大丈夫」

そう言う廉くんは、総長の顔をしていて。

仲間のこと、好きなんだなぁ。

「だけどもう7月だから暑いな……」

「澪桜!あとちょっとで夏休みじゃん!」

たしかに……。

「夏休み、かぁ……」

あんまりいい思い出ないな。

舞桜の身代わりいつでもできるように、たくさんの稽古やレッスンさせられて。

頭の良い家庭教師が家に来て猛勉強。

離れに住んでからもそれは変わらなかった。

なんのための努力?ってずっと自問自答してた。