2階のお部屋から出てきた美男美女。

美女の方はあたしを見るなり名前を呼んできた。

なんであたしの名前を……?

「っやっぱり澪桜だ!覚えてる?私雫石伊代!幼稚園一緒だった!」

っ……あ。

「う、嘘、伊代ちゃん!?」

「そーだよ!やばい嬉しい!!何年ぶりかな!」

一気に思い出した。

伊代ちゃんは唯一できたあたしの友達。

仲良くなる子はみんな舞桜に行ったけど、伊代ちゃんはあたしと仲良くしてくれたんだ。

「えなに!?伊代と澪桜ちゃん知り合い?」

「幼稚園一緒だったんだよねー!」

「懐かしいね。伊代ちゃんがまさか夜桜にいるなんて思わなかった」

「お互い変わったね〜」

さっきまでの緊張感が嘘みたい。

「伊代が澪桜澪桜うるさかったのはそういうことか」