「ううん……これでいいの」

あの人たちにとってあたしは家族じゃなかった。

あたしにとっても……家族とはいえなかったから。

「そうだ、澪桜。あの家である物を見つけたんだ」

風馬さんがゴソゴソとポケットからある物を出した。

それは、唯一あたしが写ってる家族写真。

幼い頃に撮った、貴重な……。

「その写真……」

「澪桜に聞こうと思って持ってきたんだ」

「澪桜ちゃんの父親の部屋から出てきたよ」

お父さんの……。

そっと受け取った。

みんな笑ってる……。

でも……。

「だれか、ライターと七輪あるかな」

「え、あ、用意します!」