廉くんは引くどころか嬉しそうにはにかんだ。

その笑顔にドキッと胸が高鳴った。

……なんだろ、今の。

「俺夜とかアジト行く日あるけど……澪桜をひとりにさせたくないから一緒に来てほしい」

「あたしがノコノコアジトに行っていいの?」

「澪桜だからいいんだよ。俺の生涯共にする人なんだから」

「……わかった」

まだ会って数日だけど……廉くんはとても優しい。

こんなにも穏やかで、まるで王子様みたいな人があたしを選んでくれるなんて……。

……この16年間、ずっと諦めてた。

あたしは舞桜の身代わりのために……都合のいい人間になるために生まれてきた。

ずっと、そう思ってて。

報われるなんて思ったこと、なかった。

「これから忙しくなると思うけど……大丈夫?」