深く眠る澪桜は、赤ちゃんみたいで。

守りたいと思った。

「なぁ、父さん」

「なんだ?」

「俺……小さい頃から何も望んだりしなかったよな」

いくら父さんと母さんが好きな物なんでも買ってあげようとしてもいらないと断ってきた。

何かに興味を示すことがなくて。

「廉くんが初めて求めたのが澪桜ちゃんだものね」

「最初お前の口から女の子の名前が聞けるとは思ってなくてびっくりしたけどな」

それくらい、無気力だった俺。

「そういえば、鮎川財閥の社長と娘が廉と澪桜ちゃんに謝罪をしたいそうだが……」

「澪桜に会わせたくないし、今さらいらねぇよ」

「だと思って、断っておいた」

「あなた、鮎川財閥の財力根こそぎ取ったから事実上うちの方が財力あるものね」

そんなことしてたのかよ。