俺のかわいい生き人形

「え」

勉強の手を止めて、沙織を見た。

「その好きとかってやつ。よくクラスで女子が話してんじゃん」

「恋だよ〜!廉には好きって感情ないの?」

「ない」

「じゃあ私が教えてあげるっ」

ギュッと俺に抱きついてきた沙織。

女特有の香水の香りがした。

そして、俺たちはそのまま……。

沙織とそういう関係になっても、何かが変わるわけではなかった。

相変わらず好きも嫌いもわからない。

「なぁ丈、好きってなに」

「はー?んー、あの子可愛いなぁ好きだなぁ、って感じ?」

「ふぁ〜……ふーん」

「お前聞いてねぇだろ……」

丈は中学の頃から恋愛経験してて、夜桜の奴らもみんなそうだった。