【廉side】

小さい頃から、俺は何に対しても無気力だった。

「廉くんー!沙織ちゃんが遊びに来てくれたわよ」

「れーん!あそぼ!」

沙織は親同士が決めた俺の婚約者。

「俺あそびたくない」

「えーあそぼうよ〜」

「ほーら廉くん、遊んであげなさい」

こうしてしょっちゅう沙織が会いに来て、それは中学に入ってからも変わらなかった。

だけど中2の時、俺らの関係は大きく変わった。

「ねぇ廉ー」

「なんだよ。用が無いなら帰れよ」

「私好きな人いるんだ」

好きな人……?

好きも嫌いもそういう感情がなかった俺にはよくわからなかった。

「なぁ、好きってなに」