また無茶なことを……。

「呼ぶなら……廉くん、でしょうか」

っ……。

名前を呼ばれた瞬間、心臓を矢で貫かれた気分になった。

な、んだよこれ……。

「それじゃあすぐに手配しようか。新居が決まるまでふたりはここにいなさい」

「廉くん、澪桜ちゃんにお部屋案内してあげなさいな」

「澪桜、行こう」

いけねぇ、澪桜の前では平然としてないと。

リビングを出て、俺の部屋に向かう。

一旦、ふたりでちゃんと話したいしな。

「や……れ、廉くん」

「ん?」

八城くんって言おうとしたな。

それでも廉くんって呼んでくれるところ、愛らしくてたまんない。