『廉くんっ』

いつもそうやって俺を呼んでた澪桜。

別れてからは八城くんに戻ったけど……。

「澪桜ちゃんは、廉に何があったのかずっと気にしてるんだぞ。それでも、いつか話してくれるまで待つって健気に笑ってた」

澪桜が待ってくれてるのは知ってた。

だけど、どうしてもまだ話す気にはなれなくて。

話しても、沙織が関わってくるたびに思い出して嫌な思いさせちゃうと思って……。

「沙織さん、あなた澪桜ちゃんの居場所はわからないってこと?」

ずっと黙ってた母さんが口を開いた。

「はい……。澪桜さんが廉に近づいた時は好きにしていいよって話してたんです。もしその時が来た時のために、部屋がわかるように昨日ここにきて」

とことんクズだな。

でも……。

「お前をそんなふうにさせた俺にも責任はある」

「廉……ごめんなさい」