あの日……お見合いの日、あたしに手を差し伸べてくれた廉くん。

『俺と結婚しよう、澪桜』

あたしを、助けてくれた。

今思えばあたしは、たくさん廉くんに助けてもらってたんだ。

「廉くんが好き……っ。丈くんとも伊代ちゃんとも風馬さんともまた、仲良くしたくてっ……。夜桜のみんなとも……っ。あの頃に戻りたいっ……」

「……もし戻ったら、どうしたい?」

もし、戻れるなら?

「……廉くんに、もっと好きって言いたい」

「澪桜ちゃんのお願い、ちゃんと廉に届いてるよ」

だから……と続ける丈くん。

「だから、もう泣きやめよ!澪桜ちゃんは笑った顔がいちばん可愛いよ!」

「丈くん……うん、ありがとうっ」

ゴシゴシと涙を拭って立ち上がった。

「じゃああたし、戻るね!」

「おうっ!」

そしてあたしは校舎裏を後にした。