ここあたしの家じゃないし、廉くんの婚約者である沙織さんにどうこう言う権利はないよね。

エレベーターに乗って、家の中に沙織さんを入れた。

ソファに座った沙織さんに紅茶を出す。

「ありがとう」

「話ってなんですか?」

「澪桜さん、大橋宮家に戻らない?」

……大橋宮家ってことは、舞桜とお母様とお父様のところ?

「ほら、この家も八城財閥のものでしょ?澪桜さんのこと考えたら、大橋宮家に戻る方がいいと思って」

「……そう言われれば、そうですね。あたしはもう八城財閥と完全に関わらない方が、廉くんにとってはいいのかもしれません」

いつまでもあたしと繋がってるなんて嫌だよね。

でも……さっき抱きしめられた。

勘違いなんかじゃなかった。

けど……ごめん、が気になる。