「ごめん」

「わっ」

身体を引き寄せられた。

……え、抱きしめられてる?

廉くんに……?

なんで……?

あたし、廉くんに降られた……よね?

どうなってるの?

わからない……わからないけど。

もう触れることはないと思っていたのに。

このまま……廉くんの背中に手を回していいのかな。

「おーい!廉ー!どこだよー!」

丈くんの声が聞こえてきて、慌てて離れた。

「っ……じゃあ行くね」

鞄を持って急いで階段を降りる。

走って玄関まで行って、未だに鳴り止まない心臓を抑える。