「じゃあ、澪桜は……」

「廉くん、澪桜ちゃんって子が好きなの?」

げっ、母さん……。

母さんは昔から俺のことを廉くんと呼ぶ。

「べ、べつに好きじゃ……」

「ふぅん?廉くんの口から女の子の名前が出るなんて初めてだから」

「廉、今日はもう出歩くな。大橋宮財閥のことを徹底的に調べるぞ」

父さんのスイッチが入り、八城財閥が雇ってる探偵を使い洗いざらい調べあげた。

そしたらひどい情報ばかり出てきた。

双子の身代わりをしている澪桜に人権なんかなく全部親の言いなり。

お見合いはさすがに本人かと思えば、そこには澪桜がいて。

初めて聞く澪桜の声は優しくて。

思わず聞き惚れてしまったくらい。

車で先に家に向かう俺ら。

「っていうわけなんだけど……状況理解した?」