「っちょっと……!」

廉くんはもう沙織さんに構うことなく、あたしの手を引いてその場を離れた。

廉くんの背中を見れば、やっぱりどこか沙織さんを拒絶してるのがわかって。

……過去に沙織さんと廉くんの間になにがあったのかな。

夜桜のみんなも、知ってるみたいだった。

思えばあたしは……そんなに廉くんのこと知らないのかもしれない。

「澪桜、不安にさせたよな……ごめんな」

こんなにも優しい人にこんなこと思うなんてあたし、最低かな……。

それでも、どうしても気になってしまう。

「ううん……大丈夫」

聞きたい。

でも、廉くんから感じるんだ。

今はまだ聞かないでって。

だから……いつか、話してくれるのを待つんだ。