「ちょっと待って!澪桜は嫁がせる気ないわ!」

お母様が慌てたようにそう言った。

「澪桜、わかってるでしょ!?あんたは一生大橋宮財閥の操り人形してればいいの!なんで欠落品のあんたが舞桜よりも先に嫁ぐのよ!?」

「っお母様」

「うるさい!お母様だなんて呼ばないでよ!」

っ……。

「どうして舞桜じゃダメなんですか?」

「廉、澪桜ちゃんを連れて行きなさい。ここからは大人の話だ」

「澪桜、行こう」

「あっ……」

あたしの手を取って立ち上がった八城くん。

つられてあたしも一緒に客間を出た。

「あ、あの八城くん」

「ん?」

「なんであたしだってわかったの……?」

こんなにも舞桜そっくりにしたのに。