綺麗な顔立ちに、ニコッと笑うと見える八重歯。

きっとこの人も……あたしから離れていく。

あたしと舞桜は大橋宮財閥のご令嬢。

舞桜は都合のいい時だけあたしを身代わりとして使うんだ。

稽古もレッスンも、舞桜の気分次第であたしが舞桜として受けさせられる。

舞桜が行きたくないと言ったパーティーも、舞桜として何度も参加してる。

世間的には大橋宮財閥のご令嬢はひとり。

妹のあたしは、影の存在なんだ。

ホームルームが終わって、クラスの人たちはみんな舞桜に話しかけ始めた。

「舞桜ちゃん、すっごくかわいいね!」

「澪桜ちゃんも舞桜ちゃんもそっくり!一卵性の双子なの?」

「彼氏とかは!?」

わぁ……すごい質問攻めだ。

舞桜は嫌な顔ひとつせずに

「澪桜も私も一卵性なんだ〜。彼氏とかはいたことないよ」