「……澪桜、離れないでそばにいて」

これは俺の本音だから。

澪桜を手放す気なんかこれっぽっちもねぇよ。

「何がなんでも手放したくない」

「っ……うん」

「じゃあそろそろ帰ろ、」

──プルルルルルッ♪

俺と澪桜を引き裂くように鳴ったスマホ。

澪桜を抱きしめながらスマホを見れば、着信相手は父さんだった。

「もしもし」

スピーカーにして澪桜にも聞こえるようにした。

『今から家に来れるか?鮎川財閥が来てる』

「さっそくかよ……澪桜と行く」

『澪桜ちゃんは大丈夫か?』

「あぁ、なんとか。じゃあまたあとで」

ピッと電話を切った。