「隣座ってもいいか?」

「……うん」

よかった……嫌われてはいない。

いや、澪桜が泣いてる時点でなんもよくねぇよ。

隣に座れば慌てて泣きやもうとする澪桜。

「ぁ、ごめんねこんな泣いちゃって……っ」

「謝る必要ない。むしろ泣かせてごめん……」

「どうして……どうして廉くんが謝るの?廉くんが謝ることなんて何も、」

「澪桜を傷つけたいわけじゃないんだ」

そっと澪桜の手を握った。

あいつに情なんか一切ないし興味もない。

でも……澪桜だけは違う。

「ホントごめん……あんなキス見せて。あいつは俺が小さい頃から決まってた婚約者だったんだ」

「鮎川財閥、だよね。廉くん、あの人と婚約するならあたしとはもう一緒にいれないの……?」

っ……なに言ってんだよ。