「澪桜、大丈夫?」

伊代ちゃんがあたしの肩を支えてくれた。

「だい、じょ……」

大丈夫。

そう言い切るまでにポタッ……と涙が床を濡らし始めた。

っやば……泣きたくないのに。

「澪桜、ホントごめん……」

違う、廉くん謝らないで。

「あたし、2階に行くね……」

「私も行くよ。廉たちは来ないでね」

伊代ちゃんに手を引かれながら2階のお部屋に移動する。

廉くんがもし、あの女の人と婚約したら……。

ダメだ、こんなことばっか頭をぐるぐる回ってる。

「っ伊代ちゃん……あたしっ、あたし……」

「澪桜……あの女は鮎川沙織。鮎川財閥のご令嬢で廉の元カノで婚約者だったの」