「ううん。それよりも廉くんが心配だった」

「ははっ、俺はケンカなんか日常茶飯事だよ」

ぽんぽんっと頭を撫でられた。

それでも、やっぱり心配だよ。

いつどこで廉くんがやられちゃうかわかんない。

「廉くんがいなくなるほうがやだ。怖い」

「今日まじやばいね、もっと俺でいっぱいなって」

もうなってるよ、抜け出せなくなるほどに。

それからはお互いなにを喋るわけでもなく、ただただ時間が過ぎていった。

無言でも、すごく心地よくて。

ずっとこうしてたい……。

でも心地よすぎて少し眠くなってきた。

「廉くん……」

「あ、ごめん抱きしめすぎた?」

やばい……眠気が襲ってくる。

「また来年も、花火大会行こう……ね……」

そう言って、あたしの眠気は限界を迎えた。

「……子供かよ。可愛すぎ」

廉くんがそう言ってることも知らずに。