「澪桜……どこも痛くないか?」

っなんで……あたしの心配より自分の心配してよ。

どうしていつもいつもあたし優先でそばにいてくれるの。

「っバカ……あたしより、廉くんの方が怪我してるんだよっ……もっと自分の心配して」

「あーわかったから泣くなっ、可愛いけどどうすればいいかわかんなくなるんだよ……」

そっとあたしの涙を拭ってくれる廉くん。

「廉くん、早く帰って手当しないと」

「あぁそうだな。しょうがないから車呼ぶか」

廉くんはカバンからスマホを出すと、八城家にいたときの運転手さんに電話をかけた。

「あ、もしもし。知らない男たちにケンカ吹っかけられて怪我しちゃって……お迎えお願いします」

運転手さんにも礼儀正しいところはさすが御曹司。

「澪桜、もう来るから泣きやめ。な?」

「うん……」

気がつけば花火はもう終わっていた。

いつもの夏と変わらない静けさが広がった。