最後の航海


「キミはこれからどうするの?」

「そうね・・・」

陽葵は込み上げてくるものを言葉にしようとしたけれど、
重くのしかかってきたものが、
やがて涙となって頬をつたった。

マキシムに見られるのはいやだ。

けれど熱い涙はとめどもなくあふれてきた。

「陽葵、その涙はなに?
 僕が思っていることと同じだといいけど」

「マキシム・・・」

テーブルに差し向かいに座っていたが、
マキシムは立ち上がると陽葵の隣に移った。

そして陽葵の右手を両手で包んだ。

マキシムの体温が流れてきて、自分の手が冷たかったんだと知った。

「ねえ、陽葵聞いて、
 僕は船を降りられないんだ、
 それは前に話したよね」

陽葵は小さく頷いた。

「陽葵が僕のところに来ることはできない?」

涙を通した瞳でマキシムの顔を見た。

「マキシム・・・」

「大勢の人々が一緒だから、いつもふたりきりで過ごすことはできないけれど、
 キミといたいんだ、きてくれるよね」

「行きたいわ、わたし・・・」

マキシムは陽葵を抱きしめた。

マキシムのシャツは潮の香りがした。