陽葵さまとの約束通り、
叔父さまのレストランの閉店時間になる少し前に到着されていたそうでございます。
エントランスのところで陽葵さまがドアを開けてくださったそうです。
マキシムさまはここへ来るのはまだ2回目だというのに、
陽葵さまとは以前から知っていたようだったとおっしゃっていました。
「マキシムが入ってきたとき、
いつからマキシムのこと知っていたかしら?
って自分でも不思議な気持ちだったわ」
と、陽葵さまも同じようにおっしゃっていたのでございます。
叔父さまは書き物をされていた手を止めて、
おふたりのところへ出てこられたそうでございます。
そして握手をされると、
「幸先よさそうだったよ」
と、ひと言でマキシムさまを安心させてくださったそうでございます。
ある外国の大使の奥さまもわたしたちの苦難については
ご存知のようで、できるだけ早く受け入れの準備ができるように
ご主人にお伝えしておきますとおっしゃったそうでございます。
陽葵さまもご自分のことのように喜んでくださっていて、
マキシムさまのおかあさまが船上の生活が大変でいらっしゃるのであれば、
出発までアパートで過ごされたらいかがですかと
申し出てくださったそうでございます。
叔父さまは冷静な口調でこうおっしゃったそうです。
「明日も大使館の知人の方がこられることになっているから、
もう少し様子を見たほうがいいかもしれない」
その理由は国の言語の選択肢もあったほうがいいからだそうでございます。
マキシムさまはおふたりに何度もお礼を申し上げて、
この日も船にお戻りになったそうでございます。
