先ほど同じ船で生活していながら、
マキシムさまをお見掛けしなかった理由は、
マキシムさまはしばらく船を降りていらっしゃったからでございます。
マキシムさまはおかあさまの体調のことをお考えになって、
船の上では適切な治療を受けるのは困難でございますから
おかあさまとレオニーさまを受け入れてくださるところを探すためだったそうでございます。
航行中にマキシムさまは
わたしたちが住み慣れていた海辺の町にとても似ているところを
見つけられたそうでございます。
船を停泊するために許可を取らなければなりませんが、
人々でにぎわっているターミナルではかなり時間がかかるそうでございましたが
船の修理専用ドックでしたら、
1カ月ほどなら停泊できる空きがすぐに見つかったそうでございます。
人気のないドックに接岸し、ひとりで下船されたそうでございます。
通りに出てしばらく進みますと、
暖色系で南仏風のレストランらしき建物を見つけられたそうでございます。
入口付近のスタンド看板にはclose のプレートがかけられていたそうで、
その場に立ち尽くしていられたそうでございます。
そしてそこから去ろうとされたとき、
駐車場にいらした女性が、マキシムさまのほうへやってこられているのがわかったそうでございます。
その女性こそが陽葵さまだったのでございます。
おひとりでいらして、ちょうど車に乗るところだったそうでございました。
「あのときマキシムに声を掛けなかったら、
きっといまでも叔父のレストランを手伝っていたと思うわ」
マキシムさまもまた同じように、
「あのとき陽葵に会わなかったら途方に暮れていたよ」
と、おっしゃっていました。
偶然にお会いしたことには間違いないことでございますが、
運命の人に出会うということは
おふたりが同じ日、時間、場所にいらっしゃったからなのではないでしょうか。
