♢告白された
「ねぇ、どこの店に行ってみる?」
宮沢君は優しい。先生と違って思いやりにあふれている。
少しだけ、思いやりに甘えてみたくなった。
私は、愛される喜びというやつに目覚めてしまったのかもしれない。
「後夜祭も一緒に行ってくれる?」
優しい口調の宮沢君。思いを無下にできない。
「いいよ」
そう言ってみた。
私は、今、たった一度しかない高校3年生の文化祭真っただ中だ。人生後にも先にもこの一回で、文化祭は終わってしまう。今まで、あまり男子と一緒に歩くという経験がないので、新鮮で、高校生らしい生活を送っているような気がする。歩幅はどれくらいがいいのか、歩くスピードはどのくらいがいいのか、少し戸惑いながら歩いている。本当に慣れていないことに自分でも驚く。どういった表情で話せばいいのか、話す話題についても色々と悩んでしまう。こんな経験ははじめてだ。先生ならば、なんとなく笑いのツボとか興味がありそうな話もわかるのだが、宮沢君は私には未知の世界すぎて、宇宙のかなたの星のように何も見えない。本当に私は、不慣れで不器用だったが、宮沢君は優しく微笑んでくれた。よく見ると、優しそうな顔立ちは、比較的整っていて、とてもりりしくもあった。先生に出会っていなかったら、初彼氏になったかもしれない人がここにいる。やっぱり、私のことが好きなのだよね? 嫌いだったら誘わないよね。そんなことを思いながら、お店をまわって、飲み物を飲んだり、たわいもない話をしたり、私は、そういった時間を楽しく過ごしていた。
「もし、よかったら僕と付き合ってほしいな」
「え……? 私なんかでいいの?」
「咲原さんじゃなければ、だめだよ」
思いがけない宮沢君の申し出と、強い口調に私は戸惑った。
「連絡先教えて。少し、考えてから返事を出すから」
そう言って私たちは、連絡先を交換した。
後夜祭もなんとなくドキドキしながら、二人で過ごし、悪くはない気持ちもあった。
♢先生どう思う?
先生は自宅でいつものように過ごしていた。私もいつも通りを装う。
「何かあったのか? 宮沢君と」
先生は好奇心なのか、探りを入れてきた。
「別に。告白されただけ」
「……そうか」
先生は大人だから、告白と聞いても冷静だ。でも、私は、全然冷静になれなかった。はじめてのことだから。人に好きだと言われるなんて。
「うれしくないのか?」
「まぁ、付き合うかどうかもわからないし」
「断るのか? もったいないな」
それは、私だって、宮沢君は優良物件だと思いますよ。でも、目の前に好きな人がいるのに、それに逆らって付き合えるほど器用ではない。
「先生も彼女作らないの」
「俺はいいかな。しばらくはそういったことはめんどくさいな」
やっぱりお姉ちゃんのこと、引きずっているのかな。責任感じてしまう。
「この家にいてもいいから、お姉ちゃんの自分勝手な態度は私が謝罪します」
「気にしてないから。それに、そのうち新しい家を探さないといけないよな。居心地よくて、居座ってしまって申し訳ない」
「そんなこと気にしないで。先生は、私が付き合ったらどう思う?」
「まぁ、健全な交際にしてほしいかな」
それだけ? それだけなのか、この人にとって私は。
私は、淡い希望が打ち砕かれたような気がした。
でも、自分の気持ちがわかった。だから、断ろう。ようやく決心した。
そして、その勢いで宮沢君に
「ごめん」と一言メッセージを送ったのだ。
「ねぇ、どこの店に行ってみる?」
宮沢君は優しい。先生と違って思いやりにあふれている。
少しだけ、思いやりに甘えてみたくなった。
私は、愛される喜びというやつに目覚めてしまったのかもしれない。
「後夜祭も一緒に行ってくれる?」
優しい口調の宮沢君。思いを無下にできない。
「いいよ」
そう言ってみた。
私は、今、たった一度しかない高校3年生の文化祭真っただ中だ。人生後にも先にもこの一回で、文化祭は終わってしまう。今まで、あまり男子と一緒に歩くという経験がないので、新鮮で、高校生らしい生活を送っているような気がする。歩幅はどれくらいがいいのか、歩くスピードはどのくらいがいいのか、少し戸惑いながら歩いている。本当に慣れていないことに自分でも驚く。どういった表情で話せばいいのか、話す話題についても色々と悩んでしまう。こんな経験ははじめてだ。先生ならば、なんとなく笑いのツボとか興味がありそうな話もわかるのだが、宮沢君は私には未知の世界すぎて、宇宙のかなたの星のように何も見えない。本当に私は、不慣れで不器用だったが、宮沢君は優しく微笑んでくれた。よく見ると、優しそうな顔立ちは、比較的整っていて、とてもりりしくもあった。先生に出会っていなかったら、初彼氏になったかもしれない人がここにいる。やっぱり、私のことが好きなのだよね? 嫌いだったら誘わないよね。そんなことを思いながら、お店をまわって、飲み物を飲んだり、たわいもない話をしたり、私は、そういった時間を楽しく過ごしていた。
「もし、よかったら僕と付き合ってほしいな」
「え……? 私なんかでいいの?」
「咲原さんじゃなければ、だめだよ」
思いがけない宮沢君の申し出と、強い口調に私は戸惑った。
「連絡先教えて。少し、考えてから返事を出すから」
そう言って私たちは、連絡先を交換した。
後夜祭もなんとなくドキドキしながら、二人で過ごし、悪くはない気持ちもあった。
♢先生どう思う?
先生は自宅でいつものように過ごしていた。私もいつも通りを装う。
「何かあったのか? 宮沢君と」
先生は好奇心なのか、探りを入れてきた。
「別に。告白されただけ」
「……そうか」
先生は大人だから、告白と聞いても冷静だ。でも、私は、全然冷静になれなかった。はじめてのことだから。人に好きだと言われるなんて。
「うれしくないのか?」
「まぁ、付き合うかどうかもわからないし」
「断るのか? もったいないな」
それは、私だって、宮沢君は優良物件だと思いますよ。でも、目の前に好きな人がいるのに、それに逆らって付き合えるほど器用ではない。
「先生も彼女作らないの」
「俺はいいかな。しばらくはそういったことはめんどくさいな」
やっぱりお姉ちゃんのこと、引きずっているのかな。責任感じてしまう。
「この家にいてもいいから、お姉ちゃんの自分勝手な態度は私が謝罪します」
「気にしてないから。それに、そのうち新しい家を探さないといけないよな。居心地よくて、居座ってしまって申し訳ない」
「そんなこと気にしないで。先生は、私が付き合ったらどう思う?」
「まぁ、健全な交際にしてほしいかな」
それだけ? それだけなのか、この人にとって私は。
私は、淡い希望が打ち砕かれたような気がした。
でも、自分の気持ちがわかった。だから、断ろう。ようやく決心した。
そして、その勢いで宮沢君に
「ごめん」と一言メッセージを送ったのだ。


