「優…わたし、私ね」

「わかってる。唐獅子様でしょ」



優は小さく息をついた。



「そうなの、あのね。唐獅子様…本当にいた。私買い物して、それで…鉢合わせて…」


「うん、追いかけられたんだよね。怖かったね」



恐怖でしどろもどろな私の言葉を落ち着いて汲み取ってくれる。
やさしい声色に泣きそうになった。



「優ごめんね…いつも守ってくれてたのに、結局…こんなことに…」


「いーよ、謝んないで。紅羽なにも悪くないでしょ。それより…無事でほんとーによかった」



ぎゅうぅと抱きしめられる。
涼しげな声とは裏腹に、私を包む腕の力は強かった。



すごく心配してくれたんだって伝わってくる。



「優が…私の手を引いてくれたの?」

「うん」



短いその返事に、涙が溢れた。



優のシャツ…濡れてる。
首もとからはほんのり汗のにおい。



きっと、走ってきてくれたんだ。