「ほんとに、優…?」
「ほんとだよ。ほら」
影が覆いかぶさってくる。
月明かりが遮断され、視界は闇の中へ。
トン…と後ろに手をつかれる。
その間、私は狭い箱のような所にいるのだと認識した。
──唇に柔らかいものが重なった。
ふにっとしてて、温かくて。
それは隙間なく密着してくる。
ぼやけた頭と暗さのせいで、自分がされていることがうまく把握できない。
ただ優のにおいが近くて、私を包みこんで。
ちゃんと優なのだと。
そばにいるのだと実感した。
優のシャツをぎゅっと握れば、まさぐるようにその手を取られて指を絡められる。
伝う体温がすごく安心する。
ほっとしたところで、しっとりと触れていたものが離れていった。
「紅羽わかった?ちゃんとおれだよ」
薄く笑う優。
私は深くうなずいた。



