「俺はなるべく見ないようにしていたんだ。こんないきなり出てきた祠なんて、どう考えても不気味だろう?」
都が石塊を一瞥する。
気持ちはわかる。私だって怖くて避けてしまうと思うから。
「おれはふつーに頭から抜けてた」
かったるそうに答える優。
昨日は嫌そうにしていたのに、思ったほど深刻に受け止めてはいなかったらしい。
どんな時でも優は優だ。
そんなマイペースな横顔をながめていれば
冴が「はっ」と短い笑いをこぼす。
「お前ら、本当にバカだな」
日常で聞いている、からかうような言葉。
なのに不気味なくらい、含みのあるものに聞こえた。
私たちのあいだに重苦しい空気が流れる。
なにかが始まってしまったのかもしれない。
私はビリビリと肌でそう感じていた──



