いつもの人懐こい笑顔とはまったく別物な気がして、得体の知れない違和感におもわず眉間に力が入る。
まるで別人のようだ。
そばに居ると、背中がざわざわと粟立つ感じがする。
「…そんな顔すんなよ」
冴はまるで私の心を読んだみたいに眉を下げた。
そして自ら距離をとるように後退する。
「先行けよ。別々で登校しよう。これ以上お前を怖がらせたらいよいよ嫌われそうだからな」
幻聴だろうか。
ベリッと仮面の外れる音がした。
毒気が抜かれたように、冴の笑顔に無邪気さが戻っている。
「さ、冴…。私は冴のこと嫌いにならないよ」
なんでか、そんなことを口走っていた。
それに冴は「知ってる」と笑う。
「紅羽は優しいからな。だからこそ、そんなお前に嫌われるのが一番つらい。死にたくなる」
「冴…」
「これだけは覚えといて。オレは…必ずお前を守るよ」
"守る"
ずんと、重く響く。
強い決意を秘めた双眸になにも答えられないまま、私はひとり学校へと向かった。



