私だけ、なんて。
そんなの私が納得できない。
「気持ちはありがたいけど、そんなふうに守られたって嬉しくない。冴が私だけを守りたいっていうなら、私は全員を守りたいよ」
言い切って、悲しかった。
だって私が知っている冴なら、きっと今の私と同じことを言うはずだから。
もしかして冴は唐獅子様になにかしら触発されているのかもしれない。
…いや、それともこれが本来の冴なのか。
どちらにせよ、私の知るかぎり、冴は私たち3人を選んで順番付けるようなやつじゃなかった。
いくら普段から、からかい合ったりしていてもだ。
それなのに…
「冴、なんか変だよ。こんなの、冴じゃない」
首を横に振りながら言えば、冴はふっとどこか哀しげに微笑んだ。
「…紅羽はさ、オレがいつまでもガキのままだと思ってんの?」
親指でおまじないを触れられる。
流れるような動作だった。
「忘れた?さっきオレにされたこと」
つぶやく唇。
導かれるように浮かんできたのは、熱を帯びたまなざしと、首すじを吸われたときの痛み。
そして、冴の…異性としての一面──



