冴の中ではもうすでにあの祠が結界というものだと形造られてしまっているらしい。
そして確実に存在する、と。
たしかに私だって、昨日は本当に唐獅子様がこの世にいるんじゃないかって怖くなった。
けど、じゃあ本気で存在すると信じるかと問われれば、そうじゃない。
言い伝えは言い伝え。あくまで伝承なんだ。
「冴、落ち着いて。唐獅子様なんてきっと昔の人の作り話だよ。どうしてそこまで信じるの?」
「信じるもなにも、存在するからだよ。紅羽はオレの言うことが信じられねーの?」
ギリ、と私の肩を掴む手に力が加えられる。
冴が怖い。
私を貫く目は、昨日祠に向けていた鋭い眼光とまったく同じだった。



