湿気を含んだ風が私たちを通り抜けた。
それはいやに冷たくて。
「割れてた、って…」
「昨日見たろ、あの祠。背中の所にデカくて深い亀裂が入ってたんだよ。紅羽たちは気づいてなかったけどな」
「つまり…それが原因で?」
「原因、とは言いきれねーけどな。一緒に確認した都は気にしてなかったし、注目するものでもないのかなとは思ったよ。けど」
一拍、静寂が走る。
「今朝、祠の横を通り過ぎたら、割れてたんだよ。ぱっくりと綺麗にな」
その光景が焼きついているのか、冴の大きな眼が揺れている。
ハッとした。
祠がある林道は私たちの通学路だ。
普段と変わらずその道を使って登校していれば、私も同じ光景を目撃したはず。
祠の惨状を見せないよう、冴はわざと違う道を来たのではないか。
昨日あからさまに怯えていた私への冴なりの配慮だったのだろう。



