「さ、え……待って……っ」




とっさに後ずさるけど、冴はかまわず追いかけてくる。




「くれは……」




今度は甘い響き。
逃げられないように腰に腕をまわされてしまった。



触れそうなほど近くて心臓が潰れそう。



前触れもなくあらわれた、幼なじみの"異性"としての顔。



普段のおちゃらけた雰囲気はどこにもなく、その瞳は艶やかな熱を帯びていた。



逃げたいのに逃げられない。




「冴、はなして……」


「たまんねーな……その目。あいつらには絶対やらねぇ」


「なに言って……んっ」




そのくちびるが押しつけられたのは、首すじ。



チウと吸われ、かすかな痛み。



痛いはず、なのに、どこか甘美。
吸われた部分を舌先でなぞられれば、不思議な快感に背が震えた。




「なに……したの」




ゆっくりと離れた冴を見つめる。
けどその唇はなにも言ってはくれない。
どこか虚ろなようにも思える大きな瞳が、私を見返すだけだった。