部屋にひとりになり、静かになった空間で頭に浮かぶのはやはり昨日のこと。
主に冴についてだ。
祠を睨みつけていたあの尋常じゃない眼光。
どうしても頭から離れてくれなくてなかなか眠れなかった。
なにかあるに違いない。
冴は訊けば隠すことなく教えてくれるタイプだから、きっと理由も分かるはず。
「よし、私もそろそろ出よう」
掛け時計を確認すればいい時間だった。
みんなとは近くの神社で落ち合ってから一緒に登校するのがお決まりだ。
都くらいなら来ているかもしれない。
カバンを肩に提げ玄関に向かう。
すると、そこにはなぜか、先ほど出ていったはずのお父さんの背中と見慣れた顔があった。
「あ!紅羽!」
お父さんの肩越しに目が合い、明るい声をかけられる。
冴だった。
「さ、冴、おはよう…」
「はよ!」
突然の来訪にわけも分からずお父さんと冴の顔を交互に見る。
どうやら談笑していたようだった。



